「書く」ことによって「自己」はどのように変わるか? 明治から昭和にかけて国語・綴方教育の変革に寄与した芦田恵之助の思想と実践を、自身の生涯や当時の新教育運動との関連をふまえその方法論から検討。「綴らせて導く」ことによる主体形成に向けた、 教育原理と実践の往還を捉える。

2020年に春風社より刊行され、絶版となっていた本書に「電子改訂版への序文」が加筆され、2025年12月に復刊。「令和の日本型教育」が喧伝される昨今、「日本の伝統」を安易なオリエンタリズムやナショナリズムに回収しないためにも、真摯に読み直したい一冊。
子どもの生活世界に寄り添いながら「書く」という営みを人間形成の核に据えた芦田の思想は、変動の時代を生きる私たちが教育の原点を取り戻すための重要な手がかりとなる。
近代教育の根底を問い直し、作文・綴方の観点から、主体・経験・表現の関係を再考する実践に関心をもつ研究者・教育者必携の決定版。