近年、ケアの現場においては、多様なニーズや高度な個別性が求められるようになりました。ケアする人とケアされる人の関係は、ますます複雑化しています。そのような中、本書は、ケアリングの概念を哲学的、看護学的に深く掘り下げ、看護におけるケアリングの意義について考察した一冊です。

　本書では、、ケアとケアリングの関係性、メイヤロフとノディングスのケアリング論、そして看護学におけるケアリング論を丁寧に解説しています。ケアする人とケアされる人の関係性、ケアリングの本質的な要素や意義について、多角的な視点から分析しました。

　特に看護におけるケアリングの理論と実践については、レイニンガー、ワトソン、ベナーといった著名な看護理論家の考えを詳しく取り上げています。ケアリングの意味するものや、それに対する批判的な視点も示しています。

　ケアに携わる対人援助の専門家はもちろん、ケアに関心を持つ全ての方々に、この書籍をお勧めいたします。ケアリングの本質的な意味を探求し、ケアする人とケアされる人の関係性を深く理解することができることを期待しています。

　ケアの本質を見つめ直し、より良い人間関係を築いていくことは、私たちの社会的使命だと考えています。本書がその一助となれば幸いです。

なお、本書は筆者の博士学位論文の一部を改訂・追記し、一般の読者向けに編集たものです。